正花「林鐘梅と撫子」

真の花形

リンショウバイは、バラ科の落葉低木。梅に似た実がなるので、この名前がついた。矯めのきく花材。


中国原産だが、日本にはかなり古くに渡ってきた。
万葉集にも「唐棣(はねず)」の名で登場している。

夏まけて 咲きたる唐棣 ひさかたの 
  雨うち降らば うつろひなむか
 
       ―大伴家持(巻8の1485)

意味:夏がやって来ることを、今から待ち受けるようにして咲いているハネズの花は、このまま雨が降って来たならば、その色を、変えてしまうのだろうか。(ちょっとしたきっかけで、物事が移ろい変わるものならば、 あなたの心も移ろい変わるものなのでしょうか。)


このリンショウバイは白だが、ピンクに近い色の花がさくものもある。唐棣色(はねずいろ)は、そちらの色を指し、鮮やかな朱色に近いオレンジがかった薄い赤色のこと。 朱華とも書く。

花材